また映画ですか・・・

 赤ワイン色で染められたビロード仕上げの座席が印象的なレトロな映画館に若松監督の『実録・連合赤軍』を見に行った。振りかざされる鉄球や放水を続けるシーンはTVで繰り返し流されているし、総括をめぐる文章に触れたことも一度や二度ではないけれども、事件後に生まれた自分にとっては「関連性もない完全に隔たった世界で生きている」と思いながらながめていた。とはいえ完全にシニカルになりきれずにいたのは、坂井真紀やARATAなど当時を知らない役者の演技をスムーズに受け入れていたからだろう。たぶん、だれでも「演じられる」と知らされたのだ。宮台さんだけがひどく浮いていた。まぁ御愛嬌。笑。他人や自分を責め、殴り、殺し殺され、追い込んでいても追い込まれて、革命を志す言葉と共に自ら袋小路に入っていく。
 近くに座っていた二人組みの女性から聞こえてくる会話は、映画を挟んでも内容に変化はなく、主婦のおしゃべりが続いていた。年は5、60代といったところ。臭いをたくさん吸った真紅のカーテンと同調して揺れながら軽快に話していた。どうして見に来たのか、どう思ったのか、流すものなのか、留めるものなのか、すごく気になった。