狛江

 昨日は所要で狛江に初めて降り立った。「狛江」で思い出すのは天才写真家、アラーキーこと荒木経惟。代表作は『さっちん』、『人妻エロス』、『センチメンタルな旅・冬の旅』など多数。最近はプリントに色を塗りつけたりしている。
 荒木が新宿で写真を撮っていたところを偶然見かけたことがある。カメラはペンタックス6×7Ⅱ。望遠をつけて新宿を撮影していた。三越側から道を挟んだ伊勢丹方向に望遠レンズを向けて盛んにシャッターを切っていた。その眼はどこに向けれられていたのか。アシスタントは二人。行き交う多くの人は気づかずにいた。風貌が普通じゃないし(笑)、目立っていたと思うのだけれど周りを人が囲むことはなかった。不思議な感じがした。風景に溶け込んでいたのか?。
 学生時代に良く見た荒木はスナップ写真が好きだった。もちろんを有名だからよく見たのだろうし、刺激的な写真も多い。私小説ではなく私写真の道を突き進んだ荒木の写真で印象に残っているのは『さっちん』や奥さんの陽子を取った写真と数々のスナップ。当時は若手の佐内正史ホンマタカシも好きだったけれど大御所の荒木や森山はやはり特別な存在だった。
 スナップ写真を撮ることが一番好きだった。カメラさえあれば一人でどこでも行けそうな気がした。けれど、いま、カメラを持って歩くことがなくなった。デジカメなら現像、プリントを気にしなくても良いわけでいつかは欲しいと思って既に5年以上が流れた。携帯カメラでたまに撮影するが、気が進まないときが多い。
 昔、欲しかったカメラはプラウベルマキナの6×7。中盤でフットワークが軽いカメラを羨望のまなざしで見つめていた。中古で10万くらいだった。結局、購入することはなかったが、今、また欲しいと思っている。ブローニーフィルムで一枚、一枚を集中したら気分が変わるような気がした。フットワークも戻るような気がしている。もちろん、気分転換のひとつでしかないのだが。